福島より「福」来たる

 そぼ降る秋霖に、ずぶ濡れになりながらか細い声でふるえていた産毛の子猫を保護したのは33年前の夜半のことでした。爾来、33年の間に犬2匹、猫12匹をわが家の一員として迎えました。そして今年の9月下旬、19才と18才の最後の2匹が相次いで天寿を全うしました。この上ない悲しみに悲嘆に暮れる毎日でしたが、年長さんの難関校合格、合格、そして全員合格の朗報に、悲しみもしだいに諦観の念に変わろうとしていた先日のこと、娘が保護猫を迎えようと言ったのです。しかも福島の猫をと言うのです。もう二度と悲しくつらい思いはしたくないと反対はしたものの、年間5万匹の猫が殺処分を受け、各自治体や動物愛護NPOの人たち、私財を投げうって殺処分ゼロを目指して活動しておられる方々のことも承知しておりました。家族で話し合った結果、私も同意することになりました。送り届けて下さるかと思いきや、何と福島まで迎えに行くというのです。そして新幹線と在来線を乗り継いで一匹、いや、一人が家族となりました。命名、当然「福ちゃん」でしょう。福島から福来たる、推定年齢、生後7~8か月とのこと、シルバーグレーのキジ猫です。なかなかの美形で活発なお嬢さんです。きっと福ちゃんは福をもたらしてくれるでしょう。「来年の年長さんも今年の年長さんに負けない成績をたのむわよ!」と福ちゃんを強く抱きしめる私でした。